この懐中時計は、天才時計職人アブラアン・ルイ・ブレゲ(Abraham Louis Breguet, 1747年1月10日1823年9月17日)の作品で、金製のケースにクリスタル製の透明な文字盤がはめこまれています。
彼は時計の歴史を200年早めたとも云われる天才でした。
永久カレンダー、暗闇でも音で時を知らせるミニッツリピーター、重力の影響によりゼンマイ時計が狂うのを防ぐトゥールビヨン機構など、様々な革新的技術を生み出しました。
1783年、ブレゲは、顧客の一人であったフランスの王妃マリー・アントワネットから「予算も納期も制限しない、最高の時計を作っておくれ。」と命じられました。
しかし、1789年、フランス革命勃発し、1793年、無情にもマリー・アントワネットは、この「最高の時計」の完成を見ることはできずに断頭台の露と消えてしまいました。
しかし、その後もこの時計の開発は続けられ、ブレゲの死後も弟子達がその仕事を受け継ぎ、1827年になってようやくこの時計ブレゲ NO.160「マリー・アントワネット」は完成しました。
注文から完成まで43年もの年月がかかったんですね。しかも王妃が亡くなって報酬を受け取ることがなくなったとしても、この時計の開発を死ぬまで続けたブレゲ。それは王妃マリー・アントワネットへの敬意によるものだったのでしょうか。そして天才時計職人としてのプライドにかけたものだったのでしょうか。
そして、すごいことに、この時計には彼が発明したミニッツ・リピーター、永久カレンダー、パワーリザーブ・インジゲーター、イクエーション、自動巻きの当時としては最新の機能がついています。
まさに「予算も期間も制限しない最高の時計」です。
そして、不思議なことに、ブレゲ作の別の当時のVIP級の顧客が所持していた懐中時計に関するニュースが、同日に報道されました。
その持ち主は、ナポレオンの妻ジョセフィーヌ。
やはりブレゲに注文したジョセフィーヌの懐中時計がクリスティーズのオークションにて1億4300万円で落札されました。
ブレゲ作ジョセフィーヌの懐中時計ジョゼフィーヌは1799年、3000フランでこの時計の製作を依頼しました。そして、1804年にナポレオンがフランス皇帝となった直後、ダイヤモンドが取り付けられ、ジョゼフィーが皇妃であることを象徴する王冠のモチーフが施されました。
その後ジョゼフィーヌは、ナポレオンの弟ルイ・ボナパルトと結婚した娘のオルタンスにこの時計を贈り、ルイがオランダ王になり、オルタンスが王妃になると、時計にはさらに名前の頭文字である「H」の装飾が加えられたそうです。
この懐中時計も、青のエナメルをベースにダイヤで縁取られた女性らしいデザインでとってもステキですね!
ブレゲは機能の発明だけではなく、デザイナーとしても最高の天才時計職人ですね!
そして、先月のこの懐中時計に関するクリスティーズのオークションのニュース。
予想落札価格ではぐっと安くて2000万円超だろうと言われていましたが、実際には7倍もの落札価格がついたのですね。
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